Ubuntu Weekly Topics

2016年7月22日号 新世代のAMDGPU用プロプライエタリドライバ・UWN#474

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“AMDGPU-PRO Driver”

16.04環境でAMD GPUを使っているユーザーに,⁠amdgpu⁠以外の選択肢が戻ってきました。

16.04では,各種周辺スタックへの追従の問題から,fglrxドライバは16.04では提供されていない状態にありました。ここで予測されていた「amdgpuドライバをベースとした,新しいLinux向けCatalyst」が,実際にベータリリースされ,⁠AMDGPU-PRO Driver for Linux」としてダウンロード可能になっています。AMDGPU-PRO Driverシリーズはこれまでもリリースされており,バージョン16.30でついにUbuntu 16.04に対応した形です。

AMDGPU-PRO Driverは現時点ではまだパブリックベータであり,一部のGPUやゲームエンジンと組み合わせた既知の問題が存在する状態ではありますが,Vulkan 1.0とOpenGL 4.5/GLX1.4をサポートし,RX480シリーズでも動作する「帰ってきたfglrx」です。KMSもサポートしています。

対応するGPUはamdgpuよりも狭く,最新のRX480シリーズ以外はR9の上位シリーズ(“Volcanic Islands⁠世代)のみとなっていますが,⁠AMD製ハイエンドGPUのパワーをUbuntu 16.04上でも活用したい」というユーザーにとっては嬉しい悩みとなりそうです。とはいえ,現時点ではまだパブリックベータですので,インストール前にはリリースノートの記述を確認し,バックアップを取ってからが良いでしょう。

UWN#474

Ubuntu Weekly Newsletter #474がリリースされています。

その他のニュース

  • apt-cacher-ngとapt-mirror注1golangでの実装について(サイボウズの社内ツール)⁠
  • モンスター級スマートフォン,Meizu MX6のUbuntu Phoneバージョンの存在がほぼ確定した,というニュース。Meizu MX6は,MediaTekのHelio X20 MT6797注2を搭載したスマートフォンで,ミッドレンジの価格でありながらハイエンド級の性能を持つAndroidスマートフォンです。Meizuのフラッグシップラインに相当します。このラインはUbuntu Phoneバージョンがリリースされることが通例となっていますが,MX6についても同様となりそうです。
  • Juju Charmstoreのリニューアルについて
  • Ubuntu Forumのクラッキング被害についての報告。
注1
どちらもDebian/Ubuntuのミラーサーバーの管理者にとってはお馴染みのツールです。これらは「Perlらしさにあふれたコードで書かれ」⁠長きに渡ってad-hocなものを含むパッチを大量に取り込み」⁠しかもマルチスレッドで」⁠おまけにコメントは理解の助けにならず」⁠熱意に溢れたメンテナーもいない」⁠しかも設定ファイルの編集だけでは問題が解決しないことがあるため,場合により自分でロジックを書き換える必要がある」という,非常に良くない状態に陥っているソフトウェアで,利用に苦痛を伴う状態となっていました。
注2
Tri-Clusterはbig.LITTLEを発展させたアイデアで,シングル性能を確保するための高クロックコア・通常利用のための高効率コア・低消費電力用コアの3系統でCPUクラスタを構成し,用途によって自動的に切り替えることで電力効率と性能を両立させるアプローチです。この結果,MT6797は10コア(2+4+4コア)を用途によって使い分ける,という非常にリッチな構成のSoCとなっています。

今週のセキュリティアップデート

usn-3030-1:GD libraryのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003494.html
  • Ubuntu 16.04 LTS・15.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-7456, CVE-2016-5116, CVE-2016-5766, CVE-2016-6128, CVE-2016-6161を修正します。
  • 画像スケーリング処理・XBM形式の読込・特定のヘッダ読込・特定のカラーインデックスの処理において,メモリ破壊を伴うクラッシュが生じることがありました。これにより任意のコードの実行が可能であると考えられます。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-3031-1:Pidginのセキュリティアップデート
usn-3032-1:eCryptfsのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003498.html
  • Ubuntu 16.04 LTS・15.10用のアップデータがリリースされています。LP#1597154を修正します。
  • 特定のドライブ形式を利用している環境において,swap領域が適切に暗号化されない問題がありました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
usn-3033-1:libarchiveのセキュリティアップデート
usn-3034-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003500.html
  • Ubuntu 14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-3070を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3034-2:Linux kernel (Trusty HWE)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003501.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-3070を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3035-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003502.html
  • Ubuntu 15.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-3070を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3035-2:Linux kernel (Raspberry Pi 2)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003503.html
  • Ubuntu 15.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-3070を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3035-3:Linux kernel (Wily HWE)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003504.html
  • Ubuntu 14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-3070を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3036-1:Linux kernel (Utopic HWE)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003505.html
  • Ubuntu 14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-3070を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3037-1:Linux kernel (Vivid HWE)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003506.html
  • Ubuntu 14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-3070を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-3023-1:Thunderbirdのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003507.html
  • Ubuntu 16.04 LTS・15.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。
  • Thunderbird 45.2.0のUbuntuパッケージ版です。CVE-2016-1951, CVE-2016-2818を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Thunderbirdを再起動してください。
usn-3038-1:Apache HTTP Serverのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2016-July/003508.html
  • Ubuntu 16.04 LTS・15.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2016-5387を修正します。
  • ApacheがHTTP_PROXY環境変数をリクエストから生成するため,CGIスクリプトと組み合わせることで本来期待されないリダイレクトを構成することが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
  • 備考:アップデータの適用時に,暗黙でHTTPdが再起動されます。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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