Ubuntu Weekly Recipe

第544回 GPD PocketにUbuntuをインストールする

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デスクトップのスケーリング設定

GPD Pocket版のUbuntu MATE 18.10はログイン後のディスプレイのスケーリングはxrandrコマンドで行っているようです。

まず次のような内容のシェルスクリプト「/usr/bin/gpd-pocket-display-scaler」を用意します。

#!/usr/bin/env bash

PRIMARY_DISPLAY=$(xrandr | grep "connected primary" | cut -d' ' -f1 | sed 's/ //g')
xrandr --output ${PRIMARY_DISPLAY} --scale 0.64x0.64
XRANDR_SCRIPT

これはプライマリディスプレイの解像度を0.64倍するものです。つまり1920x1200は1229x768に変換されます。コンテンツが1.5倍に表示されるというわけですね。

スクリプトに実行権限も付けています。

$ sudo chmod +x /usr/bin/gpd-pocket-display-scaler

さらにスクリプトがログイン時に実行されるよう,自動実行ファイル(/etc/xdg/autostart/gpd-pocket-xrandr.desktop)を作成しています。

[Desktop Entry]
Name=GPD Pocket Display Scaler
Exec=/usr/bin/gpd-pocket-display-scaler
Icon=user-desktop
Terminal=false
Type=Application
Categories=GTK;Settings;
StartupNotify=false
OnlyShowIn=MATE;
NoDisplay=true
Comment=Scale up the internal display on the GPD Pocket. Disable this Startup Program and log out to restore the native resolution.

Ubuntuで同様のスケーリングを行いたい場合は,同じような設定が必要になります。単純に2倍に表示したい場合は,システム設定のデバイスにある「ディスプレイ」から「HiDPI」を200%に変更するだけでも実現できます。好みの解像度に合わせて調整すると良いでしょう。

図2 システム設定のHiDPI設定

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図3 200%にするとタッチ操作がやりやすくなる

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起動オプションの変更

GPD Pocket版のUbuntu MATEでは/etc/default/grubのGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTに次のオプションを追加しています。

i915.fastboot=1 fbcon=rotate:1

i915.fastbootに1をセットすると,i915ドライバーの中でグラフィックスのモード設定を行わず,ブートローダーが設定したそれを引き継ぎます。モード設定しない分,起動ははやくなるかもしれませんが,ブートローダーで正しく設定を行っていないとGreeterやX.orgによるディスプレイの表示に問題が起きるかもしれません。

fbconの設定によってフレームバッファコンソールを回転します。

Ubuntu 18.10では原則としてどちらの設定も不要です。少なくとも起動ログを見る限り,efifbドライバーが回転済みの解像度を設定しているため,起動ログやコンソールは横置きで表示されます。スプラッシュ画面は傾いていますがこれはPlymouthの問題のような気がします。ちなみにPlymouthは0.9.4以降で待望の画面回転に対応するようです。

起動時にログイン画面を表示する

第543回でも言及しているように,GPD Pocket版のUbuntu MATEには,起動時にログイン画面が表示されない問題がありました。画面が表示されないだけで,実際に動作はしているためパスワードを入力すればログインはできます。しかしながら不便ではありました。

これに対する解決策としてRedditにGRUBの設定を行う方法が掲載されています。もし問題に遭遇している場合は参考にすると良いでしょう。

なおUbuntu 18.10の場合は上記対策は不要です。

コンソール上のフォントサイズの変更

console-setup経由で,コンソール(Ctrl-Alt-F2などを押したときの画面)で使用するフォントサイズを大きくしています。

$ sed -i 's/FONTSIZE="8x16"/FONTSIZE="16x32"/' /etc/default/console-setup

これまでと同様に,GPD Pocketが画面サイズに対して解像度が高いことによる対応です。ただしコンソールを使わないのであれば設定は不要でしょう。

もしコンソールも使い,なおかつ老眼気味であれば,設定することをおすすめします。

Wi-Fiファームウェアの設定

Wi-Fiとして使われているBCM4356のドライバはカーネルに取り込まれていますし,ファームウェアはlinux-firmwareパッケージから提供されています。しかしながら設定ファイル(/lib/firmware/brcm/brcmfmac4356-pcie.txt)が足りないために,そのままではドライバが動作しません。今のところChromium OSのコードから設定ファイルをコピーしてくるしかないようです。

Chromium OSのソースツリーからbrcmfmac4356-pcie.txtの内容をコピーし,/lib/firmware/brcm/brcmfmac4356-pcie.txtとして保存します。

次にモジュールを再ロードすれば,Wi-Fiが使えるようになります。

$ sudo modprobe -r brcmfmac
$ sudo modprobe brcmfmac

GPD Pocket版のUbuntu MATEでは最初から上記設定ファイルが取り込まれています。Ubuntu 18.10には存在しないので,手動で対応しましょう。もしUbuntuをインストールするつもりなら,LiveセッションではWi-Fiは使用せず,インストール後に設定すると良いでしょう。

GPD PocketへのUbuntuのインストール

ここまでを踏まえるとGPD PocketへのUbuntuのインストールは「Wi-Fiだけなんとかすれば最低限なんとかなる」ことがわかります。

Liveセッションでのネットワーク接続が不要なら,インストール後に設定するだけです。実はインストールされた環境に対して今回説明した設定一式を行うスクリプトも存在しますので,それを実行する手もあるでしょう。ただし本来Ubuntuには不要な設定も入ってしまうので注意が必要です。

ここではLiveセッション時はネットワークには接続せずにインストールした上で,インストール完了後に起動したタイミングで「Wi-Fiファームウェアの設定」を行うことをおすすめします。

まずはUbuntu 18.10については,普通のUbuntuと同じ方法でインストールします。USBメモリーにUbuntuのインストールイメージを書き込み,GPD Pocketを起動し,Fn+7(F7)キーを連打してブートデバイス選択画面からUSBメモリーを指定する方法です。Liveセッションの起動後に,インストーラーを実行しUbuntuをインストールします。ネットワーク設定部分はスキップしましょう。インストールが完了し,システムを再起動したら「Wi-Fiファームウェアの設定」に従って設定ファイルを取り込み,モジュールを再ロードします。

これでWi-Fiが使えるようになるはずです。Wi-Fi接続の設定を行い,インターネット通信が行えることを確認します。その後,次のような設定を行いましょう。

パッケージの更新

ネットワークに接続したタイミングで新しいパッケージのチェックスクリプトが起動します。しばらく放置するとパッケージのアップデート通知が表示されますので,それに従ってパッケージを更新しておきましょう。

言語パックの追加インストール
インストール時にネットワークが存在しないため,本来日本語環境にインストールされているパッケージの一部がスキップされています※2)⁠そこでシステム設定の「地域と言語」にある「インストールされている言語の管理」を起動しましょう。未インストールのパッケージがあった場合は通知されるので,それに従ってパッケージをインストールしてください。
※2
日本語Remixだとインストールイメージに一通り入っているため,この手順はスキップされません。

一通りインストールが完了したら再起動しておきましょう。これでUbuntu環境の完成です。あとは普段のUbuntuと同じように使えます。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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