Ubuntu Weekly Recipe

第548回 書籍制作を支援するソフトウェア「Re:VIEW」を使う

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

技術系同人誌を作成している人なら特にお世話になっているであろう「Re:VIEW」の最新版3.0.0がリリースされました。今回はこのRe:VIEWをUbuntuにインストールした上で,その基本的な使い方を紹介します。

Re:VIEWとは

Re:VIEW(りびゅー)は簡単に使える,紙書籍・電子書籍作成支援ツールです。出力フォーマットとしてEPUBやPDFだけでなく,InDesign XMLにも対応しているため,電子版の同人誌から印刷される商業出版に至るまで幅広く使われています※1)⁠

※1
たとえばUbuntu系の情報を提供する同人誌であるうぶんちゅ! まがじん ざっぱ~ん♪では,2013年に発売されたvol.1から現在までRe:VIEWを採用し続けています。

組版に必要なマークアップは独自の言語を採用しています。このためRe:VIEWを本格的に使うにはマークアップに対する知識が必要にはなるものの,その記法はなるべく書籍の著者にとっても書きやすくなるよう作られているようです。おそらくそこまで困ることはないでしょう。ソフトウェアの作成言語はRubyであり,ツールやマークアップ言語の仕様はGitHub上で開発されています

さらにRe:VIEW knowledgeには,Re:VIEWを使うにあたっての事細かなノウハウが記載されていますので,困ったらまずはここを見ましょう。

さて,そのRe:VIEWは11月30日にメジャーバージョンアップグレードである3.0.0がリリースされました。機能追加・不具合修正はもちろんのこと,CSS組版の広まりや技術書典を始めとする技術系同人誌における利用を見越した大幅な見直しも行われています。特にPDFを生成するLaTeXビルダーについては,Re:VIEWユーザーの広まりを想定して「より安全なPDFを生成できる」よう,大きな変更が加えられました。今から新しく書籍を作るのであれば,Re:VIEW 3モードを有効化して作ると良いでしょう。

本記事でもRe:VIEW 3環境で新規に作成することを前提に説明します※2)⁠ちなみにRe:VIEW 2と3では設定ファイルの内容や生成されるドキュメントのレイアウトは変わるものの,Re:VIEWの書き方そのものに違いはありません。よって複雑な原稿でなければ,そのまま流用できるはずです。

※2
review-updateコマンドを使えば,既存の書籍データをRe:VIEW 2系から3系にアップデートできるようです。

UbuntuでRe:VIEWの最新版をインストールする

さっそくUbuntuにRe:VIEWをインストールしましょう。最低限必要なのはRuby本体です。

$ sudo apt update
$ sudo apt install ruby
$ ruby --version
ruby 2.5.1p57 (2018-03-29 revision 63029) [x86_64-linux-gnu]
$ gem --version
2.7.6

Rubyのバージョンは2.1以降であれば良いようです。Ubuntu 16.04 LTS以降であればどのバージョンでも公式リポジトリのRubyが使えることになります。またgemの依存関係も小さくなるように配慮されているため,大抵の環境なら特に問題なく動くでしょう。

Re:VIEWそのものはRubyGemsからインストールします

$ sudo gem install review
Fetching: image_size-2.0.0.gem (100%)
Successfully installed image_size-2.0.0
Fetching: rouge-3.3.0.gem (100%)
Successfully installed rouge-3.3.0
Fetching: rubyzip-1.2.2.gem (100%)
Successfully installed rubyzip-1.2.2
Fetching: review-3.0.0.gem (100%)
Successfully installed review-3.0.0
Parsing documentation for image_size-2.0.0
Installing ri documentation for image_size-2.0.0
Parsing documentation for rouge-3.3.0
Installing ri documentation for rouge-3.3.0
Parsing documentation for rubyzip-1.2.2
Installing ri documentation for rubyzip-1.2.2
Parsing documentation for review-3.0.0
Installing ri documentation for review-3.0.0
Done installing documentation for image_size, rouge, rubyzip, review after 8 seconds
4 gems installed

gemコマンドの標準のインストール先は/var/lib/gems/2.5.0なので,管理者権限が必要です。ユーザーのホームディレクトリ以下にインストールしたい場合は--user-installオプションを付けてください。パッケージ名をreview:3.0.0にするとバージョンを指定できます。また--prereleaseを付けると正式リリース前のプレビュー版もインストールできます。

$ which review
/usr/local/bin/review
$ review version
3.0.0

Re:VIEWで書籍を作成するにあたって,最初に雛形を生成します。今回は「sample」という書籍にしてみましょう。

$ review-init sample
$ cd sample
$ ls
Gemfile     bundleコマンドで環境構築する際に使う
Rakefile    rakeコマンドでビルド・クリーンする際に使う
catalog.yml 使用するreファイルのリストと構成
config.yml  書籍の設定
doc         Re:VIEWのヘルプドキュメント
images      画像ファイルの保存先
layouts     レイアウトファイルなどの保存先
lib         Rakefileのタスク
sample.re   書籍のサンプルデータ
sty         LaTeX用スタイルファイルの保存先
style.css   EPUB用スタイルシート

当面重要になるのはsample.recatalog.ymlconfig.ymlの3つです。sample.reにRe:VIEWフォーマットで書籍の本文を執筆し,catalog.ymlに各reファイルのファイル名を列挙していきます。config.ymlでは,書籍全体の設定を行います。

雛形はそのままでもビルド可能なので,実際にEPUBファイルを作成してみましょう。review-epubmakerに設定ファイルを渡して実行すれば,EPUBが生成されます。

$ review-epubmaker config.yml
WARN: sample.re:1: headline is empty.

$ cat sample.re
= $

$ file book.epub
book.epub: EPUB document

sample.reはタイトル要素=だけのファイルなので,上記のように警告が出てしまいます。ちなみにrakeコマンドがあるなら,ターゲットとしてepubを指定することで同じようにビルド可能です。将来的にEPUBとPDFの両方を生成するのであれば,rakeを使うとより直感的でしょう。

$ rake epub

EPUBの動作確認をするためにはEPUBリーダーが必要です。公式リポジトリにあるものだと編集も可能なSigilやKDEのOkularなどが有名です。もちろん第534回で紹介されているAtrilも選択肢になります。

図1 OkularでEPUBを表示した場合

画像

今は本文に何も書いていないので,表紙と目次と作者が書かれたのみのシンプルなEPUBファイルとなっています。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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