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第583回 LibreOfficeのPDFエクスポート機能を活用する 2019年版

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今回はLibreOfficeのPDFエクスポート機能を改めて紹介します。

PDFエクスポートの進化

LibreOfficeのPDFエクスポート機能は第205回で紹介しました。それから7年以上が経ち,6.3までの間に機能も強化されたので改めてその一部を紹介することにします。

長期保存用フォーマットとしてのPDF

PDFにはさまざまな役割があります。長期保存用のフォーマットとしても使えますし,逆にパスワードをかけて特定の者からしか見られないようにすることもできます。署名することによって真正性を担保することもできます。

はじめに,一番重要と思われる長期保存用のフォーマットとしてのPDFについて解説します。

PDFは現在オープンなフォーマットですISO 32000-1⁠。同時に長期保存用フォーマットしての仕様も定められています。最初に定められたISO 19005-1はPDFがオープンになる前の仕様(PDF 1.4)を元にしており,次に定められたISO 19005-2はオープンになったフォーマットを元にしているため,長期保存用フォーマットしてはよりふさわしいものであるといえます。

LibreOfficeは最新版の6.3からこのISO 19005-2,別名PDF/A-2bに対応しました。6.3のほかの新機能に関してはSoftware Desgin 2019年9月号に掲載されている『Ubuntu Monthly Report 第112回 LibreOfficeの新機能』をご覧ください。

サンプルドキュメント

今回のサンプルドキュメントは,本連載のLibreOffice関連記事のうちのいくつかをまとめ,最新の情報に更新した(LibreOffice Writerで書籍制作⁠libreoffice-writer-book.odt)を使用しました。ただのサンプルドキュメントとしてPDFエクスポートのオプションをいろいろと試してみるのもいいのですが,中身もご一読いただけますと幸いです。

PDFエクスポートのオプション

では本題に入ります。LibreOfficeを起動してサンプルドキュメントを開き,⁠ファイル⁠⁠-⁠PDFのエクスポート」あるいは「次の形式でエクスポート⁠⁠-⁠PDFとしてエクスポート」をクリックし,PDFエクスポート画面を表示してください図1⁠。

図1 PDFエクスポートの「全般」タブ

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全般タブ

全般タブには,次の設定項目があります。

範囲

現在のドキュメンのうち,どのページをエクスポートするかを決定します。⁠すべて」はそのとおりすべてで,⁠ページ」は指定したページのみをエクスポートします。⁠選択」は現在選択されている範囲のみをエクスポートします。

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画層の品質を決定します。PDFのファイルサイズと直結するので,そのあたりのバランスを考えて決定します。通常はデフォルトのままでいいでしょう。

透かし

PDFの全ページに透かしを入れられます図2⁠。今回は「透かし」と入れてみましたが,本来は「ドラフト」とか入れる機能のように思います。

図2 ⁠透かし」という文字列を透かしに入れてみた

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全般

PDFは内部にファイルを添付することができるのですが,⁠ハイブリッドPDF」は元になったODFファイルを埋め込むことができます。そのままLibreOfficeでも編集できます。

「Archive (PDF/A, ISO 19005)」は前述のとおりPDF/A-2bに対応したばかりか,これまでの形式のPDF/A-1bも継続してサポートされています。

「タグ付きPDF」は,ドキュメントの構造の情報を埋め込むことによりスクリーンリーダーやフロー型のPDFビューアーで表示するのに便利なようです。PDF/Aとは排他利用です。

Writerなどで作成したフォームをPDFフォームとしてエクスポートするには「PDFフォームの作成」にチェックを入れます。最近のPDFビューワーはフォームに入力した内容も保存できるため,紙のアンケート代わりに使えるかもしれません(それなりにコツは必要です⁠⁠。

「ブックマークをエクスポート」のブックマークはLibreOffice Writerのブックマークではなく,ドキュメントビューアー(Evince)ではアウトライン,Acrobat Reader DCではしおりと呼ばれている,いわゆる目次をエクスポートする機能です。

「プレースホルダーをエクスポート」は,例えばWriterで相互参照を使用している場合,そこがリンクになります。

「Comments as PDF annotations(コメントをPDFの注釈とする⁠⁠」は,その名のとおり「挿入⁠⁠-⁠コメント」で挿入したコメントをPDFの注釈として表示する機能です。

「自動的に挿入された空白ページをエクスポート」はその名のとおりで,特にWriterではページの都合で空白のページを自動的に追加することがあります。例えば横書きの場合1ページ目は必ず偶数ページになりますが,そのようにならない場合に自動的に空白ページを挿入することを意味します。通常はオフでも問題ありませんが※1⁠,より広い環境で読まれることを意識する場合はチェックを入れるといいでしょう。

※1
例えオフであっても,印刷時にはPDFビューアによって同じ挙動がなされると期待できるためです。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese TeamとLibreOffice日本語チームのメンバー。LibreOffice,VirtualBox,Joplin,Budgieデスクトップなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。