人工知能で明日のビジネスは変わるのか?

第11回 人工知能とビジネスにおける問題

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これまで10回にわたって人工知能はビジネスに活用できるか?というトピックについていろいろな側面から見てみました。次回は最終回で総括をしたいと思いますが,今回はその前に「人工知能がビジネスに活用できるかどうか」のために必要なハードルというかステップとして重要なポイントを考えてみます。

ビジネスにおける成果と費用対効果の検証

それは成果と費用対効果の検証です。

以前の回でも取り上げましたが,AIがバズワードの時期は「取り組むだけで評価される」という風潮がありましたが,それはそろそろ終わろうとしています。

AIに限らず仕事をしていくうえで相当大きいステップが「成果を問われる」という段階です。仕事なのだから成果を問われるのはあたりまえではあるのですが,それでも「成果が問われない」シーンというのはちらほらあるものです。

一番わかりやすいのは入社したての研修期間などです。研修期間が終わっても,しばらくは「取り組み自体が評価される」時期というものはあるものです。

ただそうした時期は,仕事をし始める最初にしかないものです。まあ転職すると若干そういう期間が発生したりもしますが。

そうした猶予期間が終わると,基本その後は仕事というのは成果を求められるというか本来の状態に落ち着きます。

ところがたまに,そうした社会人としての猶予期間が終わったあとでも(そして転職したとかでなくても)⁠業務の成果が問われないシーンというものがあるのです。 その一例がAIブームのような,⁠流行ってる(ように見える)からとりあえずやってみて」と言われるようなケースです。そうした状況に輪をかけるのが「とりあえずやってみて,というスタンスに乗じてサービスを提供する企業がある」ということです。

ソリューションを提供してお金をもらっても成果が問われないのですから,こんな楽なことはありません。バズワードが生まれると急にそのバズワード関連のソリューションの提供企業が増えるのはそうした理由もあります。

取り組み自体のニュースなのか?成果のニュースなのか?

もちろんそういう短期的な/短絡的な取り組みは,あっという間に終わってしまいますが,そのころにはまた別のバズワードを掘り起こしにいくのでしょう。

連載の第8回でも,この空前の?人工知能ブームにおいてニュースを取捨選択するには,取り組み自体のニュースか成果のニュースか,という見分け方について書きました。

ただ成果を求めるというのは,それだけでは十分ではありません。もちろん取り組みオンリーよりもはるかにマシではあるのですが,合わせてその費用対効果を見るというステップがあって,初めて意味のあるというかビジネスで活用できる,と言えるのです。

費用対効果の見方

費用対効果を見るというのは,これまた2つのステップに分けられます。

リスクとリターンを比較する

まずは「リスク(コスト)を上回るリターン(利益)があるか」です。

1,000万かけて人工知能ソリューションを導入して100万円利益がアップした,では費用対効果としてはオソマツなものです。もちろん導入した瞬間からリターンが上回らなくても,どのくらい長い目で見るかというのも重要な指標ではありますが。

ただ「しかるべき期間を過ぎてもコストを増加する利益でカバーできない」のではダメなのは間違いありません。

これが最初のステップというかクリアするハードルです。

最も高い費用対効果が出ているか

これをクリアしたとして「それが最も費用対効果が高いか」というステップが次にあります。

人工知能ソリューションで投資以上のリターンはあるが,別の選択肢だともっと費用対効果が高い,という場合はAIは最適解ではないということです。

ストレートにいえば「やったほうが儲かる,そしてそれが一番儲かる」のでなければ意味がないということです。そうしたことをいうと,⁠そういう短期的視点がテクノロジーの成長を阻害するんだ」という声も聞こえてくることでしょう。

もちろんそれはある意味正論です。ただ,⁠成果を問われると正直厳しい」からそういう反論をする,という場合,つまりそれが本音か建前かは非常に見分けるのが難しいものです。

ビジネスで活かすとは?

そもそもこの連載のテーマである「ビジネスで活かせる」というのはどういう意味でしょうか。

簡単にいえばそれは「経済活動として有効な選択肢」であるということです。

正直まだまだ人工知能はビジネスで活かせるシーンというのは非常に限られています。テクノロジーの進化によって,コストが下がり効果が上がるトレンドというのは続くでしょうが,それが最適解か,もしくは最優先で取り組むべきかというと,それにはまだ2~3年かかるのではないでしょうか。

だいたいバズワードというのはビジネスで使えるようになるまでそれくらいはかかるものです。

重要なことは「取り組みだけでは良しとせずに,成果を求め,費用対効果を検証しつづける」ということです。

そして,考えてみればこれはあたりまえのことです。単にバズワードやブームというものは,そうしたビジネス上で当たり前のことを,⁠なぜか」吹き飛ばしてしまいがちということかもしれません。

さて次回は最終回,これまでの総括をしてみます。

著者プロフィール

山崎徳之(やまざきのりゆき)

青山学院大学卒業後,アスキー,So-netなどでネットワーク,サーバエンジニアを経験。ライブドア(現LINE)のデータホテルを構築・運営の後,海外にてVoIPベンチャーを創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現 ZETA株式会社)を設立,代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZERO-ZONE」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発,販売している。

株式会社ゼロスタート:https://zero-start.jp/

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