OSSデータベース取り取り時報

第47回 MySQL for Excelのご紹介,PostgreSQL 12ベータ版登場

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この連載では,OSSコンソーシアム データベース部会のメンバーが,さまざまなオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。MySQL for Excelのマイナーバージョンアップが行われました。PostgreSQLでは次期メジャーバージョンのPostgreSQL 12の最初のベータ版が登場しました。

2019年4月に開催したOSSコンソーシアム主催の「第3回データベース比較セミナー」ですが,資料を公開しております。ご参照いただくだけでも,大変に参考になると思います。

[MySQL]2019年6月の主な出来事

2019年6月はMySQLの製品アップデートはMySQL for Excel 1.3.8のみでした。このバージョンでMySQL 8.0への接続が可能となっています。

MySQL for Excelのご紹介

MySQL for ExcelはExcelのアドオンで,MySQLサーバーのデータをExcelにインポート,ExcelのデータをMySQLサーバーにエクスポートできるほか,インポートしたデータを編集すると自動的にMySQLサーバーに反映させることも可能になります。

図1 MySQLサーバーへの変更の自動反映機能

図1 MySQLサーバーへの変更の自動反映機能

MySQL for ExcelはWindows向けのMicrosoft Excel 2007以降のバージョンに対応しています。MySQL for Excelの利用には.NET Framework 4.5.2およびVisual Studio 2010 Tools for Office Runtimeが事前に必要となります。Windows用のMySQL Installerはこれらを合わせてイントールします。MySQLサーバーへの接続設定はGUIクライアントのMySQL Workbenchと共用となります。なお,1.3.8は2019年6月下旬時点ではMySQL Installerには含まれていないため,MySQL for Excel単独のインストーラーを利用します。

MySQL for Excelを利用することで,CSVファイルにエクスポートすることなくクリック数回でExcelからデータの確認ができます。Excel 2016ではデータタブにMySQL for Excelが表示され,MySQLサーバーへの接続やデータのインポートなどを画面右側のウィンドウから操作できます。インポート時にピボットテーブルを自動的に作成することも可能です。

図2 データのインポートとピボットテーブル作成

図2 データのインポートとピボットテーブル作成

値からデータ型を自動的に認識することを利用して,いくつかのサンプルデータをExcel上で用意してMySQLサーバーに新しいテーブルとしてエクスポートすることで,テーブルをDDL文なしで作成することも可能となります。できることが限られているツールではありますが,使い慣れたExcelでのデータ操作が必要な場面で役立つツールとなっています。

[PostgreSQL]2019年6月の主な出来事

今回の最大の注目点は,次期メジャーバージョンPostgreSQL 12のベータ版登場でしょう。

PostgreSQLバージョン12のベータ版が提供開始

前回執筆後の5月末に,次期メジャーバージョンのPostgreSQL 12の最初のベータ版が登場しましたPostgreSQL 12 Beta 1 Released! -postgresql.org⁠。提供開始といってもベータ版ですから,本番に適用する段階ではないのはもちろんですが,次のバージョンにどんな改善や追加機能が盛り込まれるのかは,気になるところです。前述のリリースのお知らせには,ハイライト(Features Highlights)として10項目ほどが挙げられています。この内の2つを取り上げます。

インデックスの改善
標準B-treeインデックスの性能向上と,頻繁に更新されるB-treeインデックスのインデックスサイズの削減,インデックスの再構成がインデックスへの書き込みをブロックすること無く同時に実行可能になる,など,インデックスの改善が今バージョンの最大のアピールポイントなんだろうと思います。
プラガブルテーブルストレージインタフェース
これは新しいテーブルのストレージエンジンを組み込むインタフェースを提供するもので,CREATE ACCESS METHOD コマンドによって,新しいアクセスメソッドをPostgreSQLクラスタに追加します。この機能は,SRA OSS Inc.の石井氏がインタビューの中で「zHeapへの準備として従来のストレージと共存させる"プラガブルストレージ"が機能として入る」と期待のコメントを述べられていたものです。

その他のハイライトを項目だけ挙げておきます。

  • WITHクエリのインライン化
  • 数千のパーティションがある場合の改善
  • JSONパスクエリのサポート
  • 大文字/小文字やアクセントを区別しない照合
  • 統計情報の改善(最頻値)
  • Generated Columns
  • クラスタ構成でのページチェックサム
  • 認証とセキュリティ

また,その他の重要な変更点としては次の点が挙がっています。

recovery.conf設定ファイル
recovery.confがpostgresql.confに統合されます。起動時にrecovery.confファイルを見つけると起動しないようになると記されています。

なお,上記のpostgresql.orgサイトの記事は主要な変更点のみを示したものです。すべての変更点についてはリリースノートのページに記されています。

すでにご存知の方の方が多いかとは思いますので余計な情報かもしれませんが,PostgreSQLのバージョン番号について復習しておきますと,⁠9.x」まではドットの次の数字まで(この例では「9.x」まで)がメジャーバージョン番号でしたが,10以降は最初の整数だけがメジャーバージョンになっています。ですから,最近は,10→11→12と,バージョン番号の上がり方が早くなっています。

PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons)が2019年度の活動を開始

2019年度も,技術部会の複数のWGと,国内外のコミュニティと連携した活動を行うCR(Community Relations)部会で活動をしていくとのことです。年度の区切りになりますので,ご関心がある企業が新たに活動に加わるにはよいタイミングと思います。PGEConsの活動に関心を持たれた方は,参加申し込みのページをご参照ください。

PGConf.ASIA 2019とスピーカー支援プログラム

PostgreSQLのアジア地域における国際カンファレンス PGConf.ASIA 2019が,2019年9月9日~12日の期間,インドネシアのバリ島で開催されます。昨年までは日本で開催されていたイベントです。開催地が海外なので費用が問題になる方にも朗報があります。日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)が,このPGConf.ASIA 2019にスピーカーとして参加される方への支援プログラムを発表しています。