禅で学ぶ「エンジニア」人生の歩き方

第8回 もう一歩先へ

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禅語「掬水月在手」

ランク:上級 カテゴリ:スキルアップ

「掬水月在手 弄花香満衣」と続きます。みずをきくすればつきてにあり はなをろうすればかえにみつ。

水を手のひらにすくえばその掌中に月があり。花をかざし弄べば衣に花の香りが満ちる。 月光と花の香り。情景を思い浮かべるだに,美しい言葉ですね。

では,この美しい言葉とスキルアップのあいだに,どんな関係性があるのでしょうか?

まだ業界に不慣れな頃。
周りの,たくさんの「できている」人たちを見て,必死に勉強をしたり,教えを乞うことが多かったと思います。
書籍を買ったり,Webで調べたり,先輩に聞いたり。

そうやって段々と,今までできなかった色々ができてくるようになった。皆さん,きっとそんな経験をお持ちだろうと思います。

そうして。
しばらくしてくるとある程度できるようになり,段々と,周りの人たちと同じくらい,或いは周りの人たちよりもできるようになってくると思います。

周囲とも対等に会話が交わせて,お客様からの,先輩からの依頼もとりあえずこなすことができるようになって。

そんな風に「一通りできる」ようになった時に,どこかで「こんなもんかなぁ」「これくらいまでできればいいや」と,スキルアップを止めてしまう瞬間はないでしょうか?

でも。日進月歩どころの騒ぎではないほどに速度が速いこの業界です。 ⁠こんなもんかなぁ」と腰掛けた瞬間から,退化が始まってしまいます。⁠今の場所に留まるためには全力で走らなければならない」のは,進化もIT業界も鏡の国も,すべて一緒です。そうして,前に進むためには「全速力の二倍で走る」必要があるわけです。

では。どんな心持ちでスキルアップを図るとよいのでしょうか?
それこそが今回の禅語です。

掬水月在手 弄花香満衣。

月の光は,別に天空にあって届かないものではないのです。手のひらで水をすくえば自ずから掌中にあるものなのです。

花の香とは,別に花だけが身に纏うものではないのです。花と一緒に戯れていれば,自然,自らの衣にもまた花の香が満ちるのです。

そこにあるのは「それを得たい」という強い欲望ではなくて,ただひたすらに自然に没頭すること,なのです。そうすれば,自ずからその先には何かがついてきます。

手のひらに月を得,衣に花の香が満ちるように。必要なスキルが自然と身についてくるのです。

「この仕事をやったら**ができるようになるかな?」⁠この仕事をやっても何も身につかない」そんな損得勘定ばかりを考えるのではなくて, 目の前にあることにただひたすらに仕えることによって。それに没頭することで。そこから何かを掴めることもまた,少なからずあるのではないでしょうか?

世のすべては「自らの心の現れ」にすぎません。だとしたら,スキルアップできるもできないも,自らの心の持ちようです。

どんな仕事にも,スキルアップのための学びのための一助は,かならず隠されているものです。あとは,あなたがそれを見つけることができるか,それともそも目を開けようともしないか,ただそれだけです。

あなたは。
月の光をみては「天空にあるもの」とし,花の香を感じては「花だけが持てるものだ」と思いますか?

それとも,手のひらに月の光をすくい取り,花の香を自らの衣に纏いますか?

著者プロフィール

がる

こなしている職業を語ると「……で,何屋さん?」と聞かれる,経歴が怪しいエンジニア。「知のコラボ」とか「シナジー」とかって単語で上手に糊塗してみたい。