インタビュー

テクノロジー×人~Evolutionするメルカリで起きていること―メルカリCTO名村卓氏,執行役員VP of Engineering是澤太志氏に訊く

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

Mercari Xとは何か?

Q:ところで,キーノートの最後に「Mercari X」という,非常に謎めいたプロダクトが紹介されました。こちらについて教えてもらえますか。

名村:キーノートで曾川が話したように,信用創造と価値交換を実現するためのプラットフォームです。ただし,まだ,社内での実験ではあるので公開はされておらず,これ以上詳しくはお話できない状況です。

是澤: 社内でもまだ実証実験の段階で,日々再構築しているので,今の段階でこういうものです,と言えないというのがホンネです(笑)⁠

名村: Mercari Xについては,得られた知見がまとまって,実サービスへの採用ができる段階になったら,改めてお話したいと考えています。

今,注目の技術―Kubernetes,20周年周期

Q:テックカンパニーの中で,技術面でリードするお二人が今注目している技術は何でしょうか?

名村: 非常に難しいですが,先ほども上がったKubernetesとそれに関連する技術は個人的に注目しています。私はこれからますますインフラが抽象化されていくと考えていて,抽象化されたインフラに自分たちがどうアプローチしていくか,どうコントロールしていくか,そのための技術に注目しています。

Kubernetesのメリットは定義したマニフェストに従ってインフラを構成し,その状態を維持するようプラットフォームが稼働するため,組織とインフラのマネジメントを言語化しやすいと考えています。

もう1つはMLです。発見と交換という観点から,MLをどのように活用するのか,活用するためのインデックス作成やサーチ機能など,基礎技術と実用技術の統合にも着目しています。それらの結果に対しての,安心・信用・信頼はもちろん欠かせません。そのための技術も不可欠ですね。

是澤: 私はちょっと異なる視点でお話します。ゲーム業界やインターネット・IT業界の歴史を振り返ってみると,コアとなる技術やビジネス的基盤やエンジニアリングに対する考え方が20年周期で変化していると感じています。

この20年ごとの変化というのは,世の中のワークスタイルとライフスタイルが大きく変化する周期という考えです。トレンドに関しても,コンシューマゲーム機,パーソナルコンピュータ,インターネットや携帯電話の登場など,キーテクノロジーの登場からプロダクトが洗練されその浸透などが進み,新しい技術の誕生と新たな産業ができるような実社会への適用も20年ぐらいで周っているように思います。

最近では,働き方改革が注目を集めていますが,これもまた組織の中で働くケースと,フリーランスとして働くケース,その両方の組み合わせによるものが生まれてきて,あと10年もしないうちに一般化するように思います。

この「20年」という年月の変化で技術を捉えると,この技術が流行るのか廃れるのか,流行ったときにどのような社会になるのかなど,技術やアーキテクチャの更新とワークスタイル・ライフスタイルの変化そのものに私は興味がありますね。IT業界が生まれてから約20年が経つ2020年に大きな変化が生まれるのでは?ということを思ってワクワクしていますし,そういうイノベーションを起こす側として関わっていたいと思っています。

好きであることの大切さ

Q:お二人の具体的な技術と観念的な技術の捉え方の対比がとても興味深いです。最後に,若いエンジニアに向けてメッセージをいただけますか。

名村: メッセージと言うとおこがましいので,自分が今,なぜエンジニアであるかを考えてみると,子どものころからプログラミングをしていたように思います。ただ,プログラミングが好きだったから,という理由です。また,自分の行動に対して,周囲が応援してくれたのは,今の自分にとって非常に大きかったですね。

ですから,若いエンジニアやこれからエンジニアを目指す方に向けては,コードを書くことが好きであれば,その好きな気持を持って続けてもらいたいです。私は,後ろから応援していきます。

是澤: 自分もまさに同じですね。プログラミングをすること,コードを書くことの価値を考える前に,ただおもしろそうということがきっかけでプログラミングを中学生時代に始めました。そして周囲をワクワクさせることや技術で負けたくないという想い,それらを感じならが成長していくことが楽しいから継続し,いつか大きな価値を生み出すと信じて,スキルを磨くことが,本当の価値につながっていくと,経験上思っています。これはマネジメントスキルも同様です。

まず,好きであり楽しめること。また,何かを生み出すのであれば「人を驚かせよう」という気持ちとホスピタリティやクリエイティビティを持っていることが大事ではないかと考えています。そういう人の育成を支援して,より人生に選択肢が生まれる世の中にしていいたいですね。

名村: 仕事という面では,インターネットが登場したころは,プログラミングを書くこと,エンジニアという職種が成立するかどうかはわかりませんでした。しかし,インターネット時代の今,たとえば,メルカリがテックカンパニーを標榜するように,エンジニアの役割は非常に重要です。

このように,好きなこと,どうなるか見通しがわからないことでも,続けていくことで,価値が生まれ,仕事になります。

まずは,自分の気持ちに正直に,トレンドに流されずにプログラミングを書くことを楽しんでもらえたら良いと思います。

―ありがとうございました。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

バックナンバー

2018

コメント

コメントの記入