ヨーロッパのPythonコミュニティと交流できる3日間「EuroPython 2019」参加レポート

第2回 2日目「1994年のPython」,日本から参加のポスターセッションとライトニングトーク

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EuroPython2日目の様子をお伝えします。

この日は私自身のポスターセッションや,日本から参加した他のメンバーが初めての海外LTに挑戦したりと盛りだくさんな1日でした。

Python 1994 ―Paul Everitt

Python 1994

Python 1994

Paul氏は現在はPyCharmのDeveloper Advocateですが,以前はZope Corporationの共同創業者だったりと,Pythonの黎明期から活動している方です。そのPaul氏が,1994年ごろのPythonコミュニティについてジョークを交えて面白おかしく発表していました。

最初に「EuroPythonが一番好きなカンファレンスです」と言ってから,突然クリーブランドとピッツバーグ(どちらもUS PyConの開催地)disを挨拶代わりにトークがはじまりました(冗談でしょうが)⁠会場に「EuroPython 1に参加したことある人?」と聞いたところ3名いました。はじめてのEuroPythonは2002年に開催されました。

まずは1994年(25年前)がどんな年だったかを振り返ってみます。1994年は以下のような年でした。

  • アメリカの大統領はビル・クリントン(1993年に就任)
  • Amazonが設立した年
  • HTMLのバージョンは3.2
  • そしてPython Communityがはじまった年

1994年にPythonの初めてのイベントがあり,初回は20名が集まってそこで会話をしたそうです。当然現在のようなイベントサイトもないので,メーリングリストで告知して集まったようです。

Paul氏はそのころからPythonのコミュニティに参加し,現在までにPSFやPlone Foundationの立ち上げメンバーだったり,Zope Corporationの共同創業者などを歴任してきたそうです(すごい)⁠なぜPaul氏がPythonを使うようになったかというと,当時はスクリプト言語としてはPerl,Tcl/Tk,Pythonが選択肢としてありましたが,勉強するために本屋に行っても良い本がなかったといいます。Pythonにはオンライン上にチュートリアルがあったため,そこで学んで使い始めるようになりました。

他にもいろいろと歴史的な資料(Webサイトやメール)を引用しながら,当時のコミュニティの話が語られていました。Pythonの歴史を感じる発表でした。

Otterは海外カンファレンスで超便利そう

イベントとは直接関係ないのですが,@komo_frに教えてもらったOtterというサービスが,海外カンファレンスでは便利そうだなと感じました。

このサービスは,カンファレンスなどの音声を録音して自動的に文字起こしをしてくれるノートサービスです。私のように英語の聞き取りが苦手な人には,あとで振り返るときにかなり便利そうだなと感じました。AndroidやiOSのアプリもあり,ログインして録音を開始するとほぼリアルタイムで文字起こしがされていきます。実際に使ってみるとサーバー側で翻訳などを行っているため,スマートフォンの電池はそれほど消耗しませんでした。

ノートの途中に写真なども挿入できるので,あとで見返したときに「この部分の話だ」とわかりやすいのも便利です。無料プランでも600分/1ヵ月まで使用できるので,英語のヒアリングに自信がない人は一度試してみることをおすすめします。

Otter上のライトニングトークのログ

Otter上のライトニングトークのログ

ポスターセッション

US PyConに続いて,EuroPythonでもポスターセッションで発表を行ってきました。

ポスターセッションとは,会場にボードが用意されており,そこに大きなポスターを貼ってその前でディスカッションなどを行う発表形式です。EuroPythonのポスターセッションはUSとは異なり,毎日2つずつのポスターセッションが行われ,ポスターセッションの時間も並行して通常のトークセッションなどが行われます。そのため,トークが始まると結構閑散としていて,休憩時間やランチタイム後半になると賑わってくるという感じでした。また,USと異なりEuroPythonでは私1人でポスターセッションの対応をする必要があるため,そこがドキドキでした。

当日ポスターを会場に持っていてまごまごしていると,隣でポスター発表している方が声をかけて掲示を手伝ってくれました。この方はUS PyConで「日本人の彼女がいる」と声をかけてくれた方です。1人だとポスター掲示も一苦労(ヨーロッパ人仕様で高さもある)でしたが,手伝ってもらえたのでなんとか掲示できました。本当に助かりました。

ポスターの掲示を手伝ってもらった

ポスターの掲示を手伝ってもらった

その後さまざまな方が私のポスター発表に来てくれて,いろいろとディスカッションしました。以下のような話が出てきました。

  • 日本でPythonってどのくらい盛り上がってるの? Rubyが有名なんでしょ? という質問が多かったです。⁠最近は日本でもPythonは盛り上がっていて,PyCon JPの参加者も2011年は130名だけど2018年は1,000名くらい参加した」という話をすると,盛り上がっていると感じてもらえたようです。
  • バーゼル在住の日本の方が来てくれました。普段はRとかを使っているらしいです。
  • Remiさんという人が,友達の入場パス(名札)を借りてわざわざこのポスターを見に来てくれました。とてもうれしいです。
  • Guidoに大ウケだった「UDONPy」にウケている人が2名いました。ネーミングって大事ですね。
  • 日本に1ヵ月くらい旅行予定の方がいて,⁠その時にPythonイベントがあったら参加をしたい」といっていたので「何かあったら連絡ください」と名刺を渡しておきました。

ポスター発表の様子(その1)

ポスター発表の様子(その1)

他に,PyCon JPとPyCon TWでスピーカーになってるSebastianさんが来てくれました。⁠日本と台湾でまた会いましょう」と話しました。⁠私も(日本と台湾の)両方で発表するよ」と伝えたら「世界は狭いね」と言われました。確かにww

ポスター発表の様子(その1)

ポスター発表の様子(その1)

(脳が)へとへとになりましたが,なんとか1人でポスターセッションをやりきりました。EuroPythonに参加している方に,日本のPythonの状況や,Python Boot Campで日本中に広めようとしているという動きを知ってもらえたかなと思います。このポスターセッションがきっかけで日本に興味をもってもらえたり,Python Boot Campのような活動がヨーロッパで生まれるといいなと思います。

著者プロフィール

鈴木たかのり(すずきたかのり)

一般社団法人PyCon JP,副代表理事,株式会社ビープラウド所属。

部内のサイトを作るためにZope/Ploneと出会い,その後必要にかられてPythonを使い始める。PyCon JPでは2011年1月のPyCon mini JPからスタッフとして活動し,2014年-2016年のPyCon JP座長。他の主な活動は,Pythonボルダリング部(#kabepy)部長,Python mini Hack-a-thon(#pyhack)主催など。

共著書に『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書(2018 翔泳社刊)』『Pythonプロフェッショナルプログラミング 第3版(2018 秀和システム刊)』『Pythonエンジニア ファーストブック(2017 技術評論社刊)』『いちばんやさしいPythonの教本(2017 インプレス刊)』などがある。

最近の楽しみはPython Boot Campの講師で訪れた土地で,現地のクラフトビールを飲むこと。2019年は世界各国のPyConでの発表に挑戦している。趣味は吹奏楽とボルダリングとレゴとペンシルパズル。

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