レポート

「杜の都」発の開発ツールベンダーが時代を超えて開発者の生産性向上を支援 ~「Toolsの杜(ツールのもり)」開催!

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自社のパッケージソフト開発用 開発支援ツールの外販化に踏み切る

馬場氏よりバトンを受け,代わって登壇したグレープシティ会長 ダニエル・ファンガー氏からは,ツール事業部の歴史を中心としたグレープシティの歩みについての紹介が行われた。

グレープシティ株式会社
会長 ダニエル・ファンガー氏

グレープシティ株式会社 会長 ダニエル・ファンガー氏

グレープシティの源流は,戦後間もなく来日し,宣教師として活動していたファンガー氏の父親を含む宣教師仲間10名が設立した宮城明泉学園にある。同学園は,聖書の教えに基づく教育と,ネイティブの英語教諭による英語教育を特徴とする幼稚園で,ファンガー氏自身も同学園の英語教諭として社会人としてのキャリアをスタートさせている。

「今から36年前(1982年)のことですが,学園がパソコンを導入したのを機に,職員が利用する学校会計のソフトを開発することになりました。とはいえ,当時は会計の知識もなければ,プログラミングもまったく知らない状態。ほぼ独学で開発を進めて,ソフトを完成させたわけですが,そのシステムを見た公認会計士が高く評価し,その商品化を勧めてくれたのです」とファンガー氏は振り返る。

そこで同学園の関連会社であったグレープシティ(当時,文化オリエント)で学校会計システムのパッケージ化推進を決断。以後,学校会計システムの開発を行い,全国の私立学校に供給していくことになる。その流れが現在のレーザー事業部へと継承されていることは言うまでもない。

「そのような取り組みの中で,自社のパッケージソフト開発のための支援ツールをアセンブラ言語で開発しました。それは現在の『InputMan』の前身となる入力処理,あるいはソート処理などを行うツールでしたが,それをぜひ対外的にも販売してみようということになり,当社にとって初の開発支援ツール製品であるMS-DOS対応BASIC『開発ツール・ライブラリシリーズ』をリリースしたのです」とファンガー氏は語る。ここに同社の開発ツールビジネスが黎明を迎えることになる。1988年,つまり今から30年前のことだ。

開発者から資料請求のFAXが殺到 その後のビジネスの成功を直感

その5年後の1993年には,学校会計システムを,当時,PCのOSとして台頭してきていたWindowsに移植することになった。このとき,開発環境には開発の容易さを評価してVisual Basicを採用。これに対し同社では,Visual Basic上で利用できる開発ツールの調査を進め,最終的に米国のベンダーが提供する製品を探し当てた。

「もちろん,この製品は英語版であり,我々の開発ニーズを満たすには日本語対応などを行う必要がありました。そこで当社での販売を前提として,開発元と交渉を行い,ローカライズを実施。私を含めた3人が,1年半ほどかけて7製品をラインナップして『PowerToolsシリーズ』として発売する運びとなりました」とファンガー氏は,その後,グレープシティのツール事業において屋台骨を支えることになる,Windows対応,Visual Basic対応の開発支援ツールが生み出された経緯を紹介する。

リリースされたPowerToolsシリーズは,その直後から大きな反響をもって業界に迎えられることになる。きっかけは,マイクロソフトの協力を得て,Visual Basicの発表イベントの開催を案内するDMにPowerToolsシリーズの英語版製品を紹介するチラシを封入してもらったことだった。⁠DMがお客様に届いた頃から2~3日の間,当社に対して資料請求のファックスが昼夜を問わず入り続けるといった状況で,⁠これは凄いことになりそうだ』と直感しました」とファンガー氏は言う。

こうして世に送り出されたPowerToolsシリーズは,当然のことながら,ファンガー氏にとって,とりわけ印象深い製品となった。それぞれのツールについても,様々な記憶に残るエピソードがあるという。

例えば,表計算・グリッドコンポーネントとしてベストセラーとなった「SPREAD」⁠このツールでは,コーディングレスでの開発を支援する「デザイナ」が同梱されていることが,その人気を支える重要なポイントとなっていた。日本語版の第1世代は,開発元の提供するデザイナを日本で改良して使い勝手を大幅にアップ。好評を博したわけだが,次のバージョンでは,米国の開発元がデザイナを付けないという方針を決定。それを耳にしたグレープシティでは,自社の開発者2名を日本から開発元に送り込んで,現地で開発に参画させて,デザイナの同梱継続をバックアップしたこともあったという。

「思い起こせば,学校会計システムを開発・発売した時も,開発ツールのビジネスに参入した時も含め,本当に我々はまったくの素人集団でした。そんな我々がここまでの成長できたというのも,第一にはお客様にご支持いただき,育ててきていただいたからだと思います」とファンガー氏は語る。

今後もグレープシティでは,その社是として掲げる「気概(Grit & Courage)⁠誠実(Integrity)⁠勤勉(Diligence)⁠顧客中心(Customer First)⁠そして「謙虚さ(Humility)⁠を全社員の胸に刻み,顧客の抱える課題を解消し,そのニーズに応える製品・サービスの提供に邁進していくことになる。

顧客の声に真摯に耳を傾け 製品の開発を進めていく

この日のオープニングセッションを締めくくったのは,グレープシティのツール事業部で事業部長を務める小野耕宏氏である。同氏からは,ツール事業部における取り組みの現状と今後の展望にいての紹介が行われた。

グレープシティ株式会社
ツール事業部 事業部長 小野 耕宏氏

グレープシティ株式会社 ツール事業部 事業部長 小野 耕宏氏

現在までにツール事業部の累計販売数は60万を超え,登録ユーザー数も累計で8万以上を数える。⁠そうした中でツール事業部では,スタッフ全員が『開発者がより多くのことを達成できることを支援する』という思いを共有するために『Empower Developers』というビジョンを2017年以来,掲げています」と小野氏は語る。

そうしたビジョンに基づくかたちでツール事業部では,⁠高付加価値」⁠高品質」な製品・サービスの提供を一貫して目指している。なかでも,なお一層の力を入れて取り組んでいるのが「顧客の声から学ぶこと」である。

例えば,グレープシティのサイトにおいて製品のクラウド環境への対応状況を告知しているページのPV数が急速に増加しているという状況を捉え,開発者のクラウド技術への関心が高まっていると考えたツール事業部では,顧客に対してアンケートを実施した。その結果,開発者が特にIaaSに大きな関心を寄せており,そのほとんどがAmazon EC2,Azure Virtual Machine,Google Compute Engineを利用中,ないしは利用予定であると回答していることに着目。今後リリースする製品の最新バージョンから,これら3つの環境への対応を順次進めていくことを決定した。⁠今後も,このようなかたちで,お客様の声(VOC:Voice Of Customer)に真摯に耳を傾けながら,製品開発を進めていきたいと考えています」と小野氏は語る。

「A Good Tree Bears Good Fruit. ―良い樹は,良い実を結ぶ」が,グレープシティの企業理念だ。今回のイベント「Toolsの杜(ツールのもり)⁠は,さながら豊かな実を結ぶ杜の木々のように,ユーザーとともに成長し,次代へ向けてさらなる実りを結び合える関係づくりを目指す同社の思いを,参加者へと伝えるものとなった。

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