レポート

【GlassFish勉強会レポート】各JDKベンダの動向を知ってJava 11に備えよう

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IBMは独自JVM「OpenJ9」をバンドルしたJDKをAdoptOpenJDKを通じて配布

田中孝清氏

田中孝清氏

IBMも,OracleやAzulと並んで独自にJDKビルドを提供しているベンダの1つです。IBMからはクラウドソフトウェア事業部の田中孝清氏が登壇し,同社によるJDKの提供方針について紹介しました。

IBMでは,もともと「IBM SDK for Java Technology」という名称でJava SE仕様に準拠したJava開発・実行環境を提供してきました。田中氏によれば,これはJava EEをはじめとするサーバ用途のJavaにターゲットを絞ったもので,2017年(Java SE 8)までは同社のプロダクトに同梱される形でのみ提供されていました。

IBM SDK for Javaの特徴は,⁠J9 VM」と呼ばれる独自実装のJVMを搭載している点です。J9 VMはIBMが一から開発したJVMであり,早い時期から先進的な機能を率先して取り入れてきたという特徴があります。また,Dumpエージェントなどの多彩な問題判別機能を有しているという強みもあるそうです。

2016年に,IBMはJ9 VMの実行環境のJavaに依存しないコア機能をEclipse OMRとしてオープンソース化しました。そして2017年,OMRベースで実装されたJ9 VMをOpenJ9として公開しました。2018年からは,このOpenJ9をJVMとして採用し,そこにOpenJDKの成果物であるクラスライブラリ・ツールを同梱したJDKをOSSで提供しています。

2018年以降のIBM SDK for Java

2018年以降のIBM SDK for Java

OSS版JDK(OpenJ9+OpenJDK)に関しては,AdoptOpenJDKを通じてダウンロードできるようになっています。AdoptOpenJDKはOpenJDKベースのJDKビルドを提供する複数ベンダやコミュニティの共同プロジェクトです。無償サポートの期間はリリースから5年で,対象バージョンはJDK 8とJDK 11です。そのほかに有償サポートプランも用意されており,パッチ提供のほかに,障害時の調査やダンプ解析などのサービスが提供されるとのことです。

IBMのJavaサポート・ロードマップ

IBMのJavaサポート・ロードマップ

Red HatはRHELの商用サポートプランでOpenJDKをカバー

今回の勉強会にあわせて,Red Hat社のSenior Software Maintenance Engineerである木村貴由氏が,同社のOpenJDKのサポートプランについてブログにまとめてくれています。それによると,Red Hat Enterprise Linux(RHEL)にはOpenJDKも含まれており,サブスクリプションに加入していれば追加料金なしでOpenJDKのサポートを受けることができるとのことです。

サポート期間はOpenJDK 8が2020年6月まで,OpenJDK 11はリリース後に発表予定となっています。OpenJDK 9や10などの非LTSリリースに対しては商用サポートの予定はないそうです。詳しくは当該ブログ記事を参照してください。

Javaコミュニティリーダー陣によるオープンレター「Java Is Still Free」

一連のJavaのリリースモデルおよびOracleによるサポートプランの変更は,日本だけでなく,世界中のJava市場で同じように誤解と混乱を生んだようです。そこで,先日Javaコミュニティを牽引するリーダー達が共同でJava Is Still Freeというオープンレターを公開しました。この文書では,Oracleおよびその他のベンダから利用できるJDKに関して,無償および有償サポートの選択肢が詳細に解説されています。非常にわかりやすくまとまっているので,こちらも一読をお勧めします。

(2018年10月10日追記)

「Java Is Still Free」の日本語訳Javaは今も無償ですが公開されました。

著者プロフィール

杉山貴章(すぎやまたかあき)

ONGS Inc.所属のプログラマ兼テクニカルライター。雑誌,書籍,Webメディアで多数の著作をもつ。

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