レポート

日本の科学技術計算コミュニティが目指すべき姿 ―SciPy Japan 2019レポート

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1日目:トークセッション
「Chainer: a deep learning framework for fast research and applications」

Preferred NetworksのCrissman Loomis氏がディープラーニングのフレームワーク,Chainerの概要を紹介しました。ChainerはCuPyというモジュールを使うことで,NVIDIAのGPU上で並列計算処理を実行することが可能です。Chainerにはコンピュータビジョン向けのChainer CV,強化学習(Reinforcement Learning)向けのChainer RLといったモジュールがあるほか,NumPyと互換可能なChainerXというモジュールも開発されています。

Chainerの概要を説明するPreferred NetworksのLoomis氏

Chainerの概要を説明するPreferred NetworksのLoomis氏

1日目:トークセッション
「Scaling Your Python Interactive Applications with Jupyter」

Jupyter Projectの開発者であるIBMのLuciano Resende氏が,Jupyter Notebookを活用した解析環境のスケーリングやセキュリティ対策について講演しました。金融や医療などの業界では,膨大なデータの計算を行う一方でセキュリティを維持することが欠かせませんが,一般のJupyter Notebookの環境では,計算リソースが限定され,スケーリングできない上,データのセキュリティを維持することも難しいです。それに対してクラスタシステム上で動作するJupyter Enterprise Gatewayは計算リソースの最適化,情報セキュリティの強化,マルチユーザ環境の提供といった機能を提供するWebサーバで,これらの課題を解決することができます。

Jupyter Notebookについて語るResende氏

Jupyter Notebookについて語るResende氏

レセプションパーティ

トークセッションの終了後,レセプションパーティーが開催され,多くの参加者で盛り上がりました。

乾杯のあいさつでSciPyの歴史を語るEnthoughtのEric Jones CEO

乾杯のあいさつでSciPyの歴史を語るEnthoughtのEric Jones CEO

レセプション会場の様子

レセプション会場の様子

2日目:初心者向けチュートリアル
「Introduction to Visualization」

2日目はPyCon JPの代表理事で,Pythonエンジニア育成推進協会(PythonED)の顧問理事も務める寺田学氏が,Pythonコーディングの基本からデータの可視化までを学ぶチュートリアルを行いました。Jupyter NotebookまたはColabを使いながら,Pythonの基本的な使い方を説明した上で,CSV,Excel,ウェブのデータを読み込んで整形,加工した上で,matplotlibを使ってグラフに表示する方法を説明しました。

PythonEDの寺田氏

PythonEDの寺田氏

応用チュートリアル「Advanced Machine Learning」

2日目の応用コースでは,Enthoughtのデータサイエンティスト,Alexandre Chabot-Leclerc氏がScikit-learnを使った機械学習の応用に関するチュートリアルを行いました。線形回帰やサポートベクターマシンなど,Scikit-learnに含まれる機械学習モデルの基本をおさらいした上で,pipelineやgridsearchなどの便利なツールやデータの特徴量抽出のコツを学びました。

EnthoughtのAlexandre Chabot-Leclerc氏

EnthoughtのAlexandre Chabot-Leclerc氏

著者プロフィール

阿久津剛史(あくつたけし)

Start Python Club共同設立者・代表。某メーカーのマーケティング部門に勤務。データサイエンスに関心を持って4年前からPythonを始める。縁あって辻さんと知り合い,Start Python Clubを立ち上げる。仕事,コミュニティ活動の傍ら,休日は子供のサッカーチームを指導する2児の父。読書大好き。最近ハマっている本は,エリック・リースの『リーン・スタートアップ』。

Twitter:@akucchan_world
GitHub:@takeshi-a

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