レポート

日本の科学技術計算コミュニティが目指すべき姿 ―SciPy Japan 2019レポート

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

2日目:オープニング

2日目の午後のオープニングトークは,カンファレンスのCo-Chairで,Enthoughtのエンジニアである高味空也氏が講演しました。

カンファレンスのCo-Chairの高味空也氏

カンファレンスのCo-Chairの高味空也氏

2日目:キーノート
「Looking Back on SciPy and to the Future of SciPy Japan」

2日目のキーノートでは,カンファレンスのメインスポンサーであるEnthoughtのCEO,Eric Jones氏が登壇し,SciPyのコミュニティの歴史を振り返った上で,今後の日本のコミュニティが目指すべき姿を提言しました。ディープラーニングの爆発的な普及にともない,バーチャルな世界での技術革新が急速に進みましたが,本当に社会を変えるのは,リアルな世界の技術革新です。モノに結び付いた技術は,物理,化学,生物,材料工学,機械工学など幅広い科学技術に関連しており,イノベーションの多くは異分野間のコラボレーションによって生まれます。欧米ではSciPyを含む科学技術計算のコミュニティが,企業,大学,研究機関で発達しているが,今後,日本のSciPyコミュニティを発展していくことを期待していると述べました。

Eric Jones, CEO, Enthought

Eric Jones, CEO, Enthought

若い頃のDavid Cournapeau氏

若い頃のDavid Cournapeau氏

Blackhallの発見にPythonが活躍した!

Blackhallの発見にPythonが活躍した!

1日目と同じく,キーノートの後はトークセッションが行われました。

2日目:トークセッション
「Progression of zero programming skilled scientist to python user」

東京工業大学の三木卓幸助教は,Pythonのパッケージを使ってタンパク質の分子構造を可視化する事例を紹介し,プログラミング経験のない科学者がどのようにPythonを使ったデータ分析スキルを学ぶべきかについて講演しました。

東京工業大学の三木卓幸助教

東京工業大学の三木卓幸助教

2日目:トークセッション
「Let’s enjoy the Python world using network analysis ~ Overlooking the reference relationship of PEPs with NetworkX」

続いて古木友子氏がPEP(Python Enhancement Proposal)の参照関係を,NetworkXを使って分析した事例を紹介しました。PEPはPythonの機能の拡張に関する提案のことで,PSF(Python Software Foundation)がインターネット上に公開して管理されています。グラフ構造を可視化することで,影響力のあるPEPがどのようなものかを分析しました。

古木氏によるPEPの分析

古木氏によるPEPの分析

まとめ

以上,日本で初めて開催されたSciPyコミュニティのカンファレンス,SciPy Japan 2019をレポートしました。本場のSciPyと同じく講演の動画が,後日,YouTubeで公開されるそうです。下記のURLでご確認ください。またカンファレンスの委員によると,来年もSciPy Japanを開催する予定だそうです。欧米で盛り上がっているように,日本でも科学技術計算分野のPythonコミュニティが発展していくことを期待したいと思います。本場アメリカの今年のSciPyカンファレンスは,7月にテキサス州オースティンで開催されますので,本場の雰囲気を味わいたい人はぜひ参加してみてください。

参加者全員で記念撮影

参加者全員で記念撮影

URL:https://www.scipy2019.scipy.org/
YouTube動画
URL:https://www.youtube.com/playlist?list=PLYx7XA2nY5Geu7wUH_6RhQM1KJkAxZllc

著者プロフィール

阿久津剛史(あくつたけし)

Start Python Club共同設立者・代表。某メーカーのマーケティング部門に勤務。データサイエンスに関心を持って4年前からPythonを始める。縁あって辻さんと知り合い,Start Python Clubを立ち上げる。仕事,コミュニティ活動の傍ら,休日は子供のサッカーチームを指導する2児の父。読書大好き。最近ハマっている本は,エリック・リースの『リーン・スタートアップ』。

Twitter:@akucchan_world
GitHub:@takeshi-a

バックナンバー

2019年

  • 日本の科学技術計算コミュニティが目指すべき姿 ―SciPy Japan 2019レポート

バックナンバー一覧